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今回は旅客・貨物共通
3月の乗務員教育セットを発送いたしました。
今月は、旅客、貨物共通の教育になります。
軽井沢スキーバス転落事故の特集
2016年1月に発生した、軽井沢スキーバス転落事故を覚えていらっしゃるでしょうか?
旅客自動車の乗務員さんは、もちろんよく覚えておいでだと思います。
最も大きな変更点は事業が5年ごとの更新制になったことでしょう。
建設業や産業廃棄物処理業など、様々な分野で許可の更新制は採用されています。
一様に事業者の負担が大きい制度ですが、事業者の健全な経営による安心できる社会づくりとの利益衡量を考えると適切な措置だと考えます。
運行指示書が役に立たなかった
軽井沢スキーバス転落事故は、事業者があたり前にやるべきことを、あたり前にやらなかったことで発生しました。
そういう意味で、関係者にとって、とても悔いの残る事故だったと思います。
しかし、この事故では必要な情報が乗務員に知らされていませんでした。
ビデオ内では、『運行指示書に発地と着地しか書かれていなかった』というセリフがありますが、実際には、必要なルートの情報は最低限記載されていたようです。
ただ、休憩ポイントなどは不明確で、乗務員が自分の判断で休憩できるような体制であったようです。
最近耳にした話では、バスの乗務員が無料で食事をすることができるSAやPAも存在するようで、そのようなことも乗務員が勝手に休憩場所を変更してしまう原因になっているかもしれません。
何にせよ、運行指示書で乗務員をコントロールするのは管理者として当然の仕事で、それをさぼっているようでは安全な運行はできません。
健康診断も適正診断もしていない
事故を起こしたバスの乗務員は、適正診断も健康診断も規定通りに受けていませんでした。
乗務員の心と体の状態を把握するのは、事業者が必ず行うべき義務です。
適正診断は、心と体のバランスを『事業用自動車の運転をする』という観点から確かめるためのツールです。
これらの診断を受けさせることなく、大型バスを運転させた事業者には怒りすら覚えます。
教育もしていなかった
この事業者は乗務員に初任運転者教育も行っていませんでした。
事故で亡くなった乗務員は、『大型バスの運転に自信が持てない』と話していたようです。
特に、シフト操作がぎこちなく、エンジンブレーキや排気ブレーキの構造は理解していたようだが、大型バスを任せられるレベルにはなかったようです。
事故を起こした事業者が、この乗務員の特性を理解していれば、大型バスに乗務させることはなく、結果としてこのような大きな事故は起きなかったはずです。
これからも毎年考えていきます
今回は、『あたり前のことをあたり前にやる』ことの大切さを、ビデオの中で繰り返しお伝えしております。
この事故以来、管理が大変厳しくなって、正直乗務員さんの負担も大きくなっていると思います。
不満を持たれる気持ちを理解した上で、ではどうして管理が厳しくなったか、を知ってもらうことが大事だと考えました。
当社では、今後も毎年切り口を変えて、この事故から学ぶ機会を設けたいと思います。
この恵まれた時代にあれだけ多くの若者が命を落とした事故のことを忘れずに、安全・安心な運行を継続するためには、これからもこの事故のことを語り継いでいく必要があると思うからです。
今回は事故報告書を読みながら、できる限りわかりやすく作成したつもりですが、まだまだ伝えきれていない部分があるはずです。
いつも通り、ご意見・ご感想をお待ちしております。
どうぞよろしくお願いいたします。